私が卒業した大学はⅡ部。定時制の夜間の大学で、4年間働きながら勉強した。親と年齢が変わらない同級生や、経済的理由で奨学金とバイト代で学費も生活費も賄う友人がほとんどだった。私にとって、夜間の学校で学ぶことは特別なことではなく、「学びたい」と思う気持ちをたどっていけばそこに行きついた。
今、香川県にも夜間中学校をつくろうという取り組みに参加している。国も「教育機会確保法」に基づき、公立夜間中学校のない県に少なくとも1つは設置を求めている。これを受け、徳島県や高知県でも公立夜間中学校設立の方向で進んでいる。何らかの理由で小学校を卒業できていない方(小学校未就学者)が香川県にも899人。「形式卒業者」や外国籍の方などを含め、学びを必要とする方は潜在的にも多数おられる。
岡山市内で開設されている「岡山自主夜間中学校」を秋山時貞県議といっしょに見学させてもらった時、「ああ、ここに本当の学びがある」と感じた。香川県出身の83歳の方は月2回の夜間中学校に毎回欠かさず出席している。娘さんがプレゼントしてくれた「よくわかる小学算数」の本を大切に保管し、この本がわかるようになりたいと勉強を続けている。
小学校3年生の時に糖尿病を発症し通学できなかった男性は、読み書きができないために履歴書が書けず、仕事に就くこともできない。自分は「人間のクズ」だと言っていたという彼が目の前で生き生きと学んでいる。
「学ぶことは生きること」。私もそうだったように、学ぶことは生きるものにとって特別なことではない。