自衛隊員に体験させない 元米兵が戦場のリアルを語る

自衛隊員に体験させない 元米兵が戦場のリアルを語る

戦争体験を語るマイク・ヘスティ氏(左)とネイサン・ルイス氏(右)

 徳島大学国際政治学研究室は21日、同大学常三島キャンパスで、元米兵を招き「ぼくたちが見た戦場のリアル」と題した講演会を行いました。

 はじめに同研究室の饗場和彦教授が「元米兵の体験を聞くことは、平和と戦争について考える上で意義があると思う」とあいさつしました。

虐殺ない日なかった

 米兵としてベトナム戦争に従軍したマイク・ヘスティ氏は、冒頭「広島、長崎への原爆投下、東京をはじめとした各地への空襲、そして沖縄を中心とした日本各地への米軍駐留に、米国人として謝罪をしたい」とのべ、自身が撮影した数々の写真を示しながら語りはじめました。

 機体に大きく「WHY(何故)」と書かれたベトナム戦争時の陸軍ヘリコプターの写真を示し、「米兵たちの間には『何故こんな戦争をしているのか』という気持ちが広がっていた」とのべました。

 さらにジッポライターの火の写真を示し、「ベトナム戦争の時、米軍が虐殺を行わなかった日は1日としてなかった。村々を焼き払ったこのライターの火は最も効果的な武器だった」とのべました。

 そして「一般人の殺害が、敵国の戦意を失わせるもっとも効果的な手段だ」と告発。「日本への広島・長崎の原爆投下も同じ理由だ。これは人類史上最悪の戦争犯罪だ」と怒りを込めて語りました。

 最後にヘスティ氏は、「同盟国である日本が、米軍の指揮の下に、戦争に参加する可能性がある。私は日本の自衛隊の若者に、私たちのような体験をさせたくない」と訴えました。

石油と覇権の戦争

 イラク戦争に従軍したネイサン・ルイス氏は「米軍の軍国主義と帝国主義」と題して報告しました。

 ルイス氏は、自身の部隊がクラスター爆弾(1発が数百の小爆弾に分裂する爆弾)を扱っていたことを告白し、「約3割が不発弾として散らばる。野球ボールくらいの小爆弾。子どもが興味をもってふれると爆発する」と告発しました。

 そして「米国を守り、イラクに自由と民主主義をもたらすという、戦争のお題目のウソに気づいた。仲間の兵士はイラク人を拷問し、殺しさえした」と告発しました。

 さらに「イラク戦争は石油と覇権のための戦争、アメリカ帝国主義のための戦争だった。国連憲章やジュネーブ条約など様々な国際法に違反するだけでなく、米国憲法にも反するものだった」と後悔の念を語りました。

 そして「集団をつくることが大事だ。歴史を学び戦争を止めよう」と呼びかけました。

戦争中毒の米国政府

 その後、通訳を務めた新潟出身のレイチェル・フラーク氏が「戦争とお金」について報告しました。

 フラーク氏は、オバマ時代(2017年)の連邦裁量予算の大統領案をグラフで示し「54%が軍事費、退役軍人予算を含めると61%だ。一方で教育には7%。食糧・農業分野に至っては1%しかない。しかもトランプ大統領になって、いっそう軍事予算は膨らんでいる」と告発しました。

 さらにフラーク氏は「アメリカは建国以来、214年間どこかで戦争をしている。戦争をしていなかったのは、わずか21年だけだ」と指摘し、「日本が『平和ボケ』しているのではない。アメリカが『戦争中毒』なのだ」と訴えました。

富裕層のための戦争

 その後の質疑で「イラク戦争と、ベトナム戦争など過去の戦争の共通点と相違点は何か」との問われ、ヘスティ氏は「金持ちがより裕福になるというのが共通点だ」と答えました。

 ルイス氏は「イラク戦争は、戦争が始まる前から世界中で反対の声が上がった。これは過去の戦争ではなかった大きな希望ある変化だ」とのべました。

 饗場教授は「アメリカも日本も政府がウソをつくという点で同じだ。そして戦争はウソから始まる。被害を受けるのは一般市民だ」とまとめました。

 参加した徳島大学2年の女性(19)は「戦争体験者は、戦争を本当に重く受け止めていると共感した。だが正直、遠い世界の話に感じる。でも本当に日本が戦争をしそうになった時、どうやったら止められるのか」と不安を語りました。

――――徳島新報2018年10月28日号より

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