「核抑止論は時代遅れ」憲法の出前授業で麻生氏

「核抑止論は時代遅れ」憲法の出前授業で麻生氏

資料を示しながら原爆投下の実態を語る麻生氏

 つなぐ阿波女の会は11月26日、徳島市内で麻生多聞鳴門教育大学准教授を招いて、「憲法の出前授業」を行いました。

 5回目となる今回のテーマは「世界で唯一核兵器(原爆)の無差別攻撃を受けた日本は核兵器禁止条約になぜ参加しないのか」です。

 麻生氏はアメリカの原爆開発の経緯などを詳しく紹介。原爆投下「予定地」の空襲をアメリカ軍が固く禁じていた事実を示し、「アメリカは原爆の実戦使用にこだわった。その威力をソ連に見せつけるためだった」と批判しました。

 そして「たとえ戦争であっても、『やっていいこと』と『やってはいけないこと』を区別している」と国際人道法の成立の歴史を紹介し、核兵器が国際人道法に反するものであることは、明らかであることを示しました。

 その上で「NPT(核不拡散条約)は核保有国の核を認める不平等なものだった。しかも条約で定められた『誠実に核軍縮交渉を行う』ことは強制でもなく罰則もなく実行されなかった。核兵器禁止条約は核兵器の保有・使用を法的に禁止する。NPTの遙かに先をゆく条約だ」とその意義を強調しました。

 そしてアメリカの核の傘の下にいることを理由に、核兵器禁止条約に背を向ける安倍政権を批判し、「核抑止力は、核保有国どうしが戦争になったとき、戦況が『劣勢』になった国に対しては通用しない。また相手が核使用をしたとの『誤認』から、先制的に核使用を行うエラーもありうる。北朝鮮など核保有国が増える現代においては核抑止は通用しない」とのべました。

 さらに北朝鮮による核・ミサイル開発を批判した上で、安倍首相のすすめるミサイル防衛システムを、あらゆる角度から分析し、「ミサイル防衛は、ほぼ不可能な技術だ。仮に『Jアラート』で知らせても『非難』にかけられる時間はわずか5分だ。このミサイル防衛に膨大な予算をつぎ込もうとしている。国民の生活や、社会保障を切り捨てる一方で、こんな非現実的な核抑止力に固執するのは、どう考えてもおかしい」と批判しました。

 そして、「北朝鮮の目的は体制維持。戦争になれば崩壊することは十分に理解しているはずだ。また戦争になれば壊滅的な被害をうける韓国も、アメリカ高官も『北との軍事的衝突は非現実的』と戦争回避をのぞんでいる」と紹介し、安倍首相のみが「日本はかつてない危機・国難の中にある」としていることを「日本政府も北朝鮮による先制攻撃の可能性が低い事は認識しているはずだ。なのになぜ安倍首相は危機をあおるのか。それは憲法9条を変るためには、国民の中に危機感を醸成することが有効だからだ」と北朝鮮問題を政治利用する安倍政権を批判しました。

 その後、受講者たちからの「拉致問題はどう解決するのか」「そうは言っても、北朝鮮の核は怖い。暴発の可能性が少しでもあるのなら憲法を変えてでも国防を強化すべきでは」「改憲を阻止できるのか」との質問に麻生氏は、「小泉総理の時、一部ではあったが拉致被害者の解放を実現できたのは、日本が独自の外交ルートを持っていたからだ。今はアメリカ追随で独自外交ルートを持っていない。拉致問題は圧力だけでは解決しない」「日本が憲法9条を変えれば、北朝鮮は、『日本が先制攻撃をするのでは』との疑念を持つことになり、偶発的な事態から戦争へつながる危険性がより高まるだけだ。9条を守ることが日本の安全を守ることにつながる」「憲法を変えれば、日本がアメリカとともに世界中に戦争を仕掛ける国となり、相手方の報復を受ける可能性が高まる。こうした正確な情報を国民に伝える活動を広がることが重要だ」と答えていました。

――――徳島新報2017年12月10日号より

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